ここでこんな恥ずかし目を受けるくらいならあの場でジョークだと言っとけば良かった…って、後悔なの⁉︎ それ。


「それならそうって、さっきあの場で言えば良かったじゃん!『自分は童貞じゃない!あれはジョークです!』って」


言ってるこっちが恥ずかしくなってきたよ。
羽田が童貞以前に自分は恋愛も処女だから。


「それ言える雰囲気だったか?クマさんの期待の眼差し見たろ?店長のウルウル目を見て、お前それ言えるか?」


「…い、言えないよね……」


「だろ〜?だから、お前をここに連れて出てきたんじゃねーか!自分の身の潔白証明する為に!」



…痛かったか?ごめん…と指先で額を撫でられた。

赤い鼻先の顔が近くにあって、少しだけ胸が脈打つ。

昨日言われた売り言葉に乗っただけのなりゆき彼女のくせに、胸が鳴るとは何事か…と気を引き締め言い直した。


「…とにかくさ、私にだけ真実語ったところでダメじゃん?正直に言えば?妬みからきたジョークですって」

「妬みって何だよ。俺は羨んだだけだ!」

「はいはい。でもね、皆の幸せを妬んでジョーク飛ばしたのは自分でしょ⁉︎ だったらその責任は自分で負いなよ。大人なんだから」

「ひっでー、お前、少しは手伝ってやろう…とかって気持ちは無いのかよ。俺と付き合うって、昨日宣言したばっかだろーが!」


あの言葉ジョークかよ…って、完全に僻んでない?