いつも通りの朝。何一つ変わらない、いつもの道。

電車も、駅も、道の途中で待ってる姫菜乃ちゃんも、何も変わらない。

いつもと同じように歩く。何も、感じることはない。感じたくない。考えたくないことまで、考えてしまうから。

「おはよう。いこっか。」

姫菜乃ちゃんと一緒に学校に向かって歩き出す。

私の元気がないことに、姫菜乃ちゃんは気付いて、どうしようか迷ってるのがわかる。

変に気を使わせたくないから、自分から言おう。

「あのね、姫菜乃ちゃん。私もう、恭君のこと、あきらめたんだ。」

びっくりしたような顔をして、うつむく姫菜乃ちゃん。

私は続きを言う。

「もうきっぱり諦めたから。何の夢も抱いてないし。」

姫菜乃ちゃんが顔をあげて、こっちをみる。

「そっか。はっきり自分で決めたんなら、そうしなよ。」

なんか、意外。根掘り葉掘り聞いて、止めてくると思ったのに。

「うん。今まで、協力ありがとね。」

「いいや、なにもしてないから。」

・・・・微妙な沈黙が流れる。いままでこんなことなかったのに。

なんだろ、この空気。姫菜乃ちゃんだけじゃなくて私も出してる。

「ねえ、姫菜乃ちゃん。今日、カラオケ行かない?」

この空気を消したい。だったら、明るくいかないと!

「珍しいね。真夏が誘ってくるなんて。いいよー。駅前の安いところいこう。」

あとはいつも通り、学校についた。