私は今朝のことを話した。

手紙の内容も、中一のあのときのことも、すべてを知っている姫菜乃ちゃんは言った。

「無理にそんなのしなくても・・・。
 恭は運命って書いてたよね?
 私はさ、運命って数学とかの答えと一緒で決まってると思う。
 会えるかは今の時点じゃわかんないけど、答えは1個じゃん。
 今、だったらどうするかで先は変わるって思うけど、時間から離れて考えると、決まってる と思うんだ。だから、結局は待つしかない。でも、今にしかいられない私たちは、運命を探 すのもありだと思う。
 真夏がそうしたからって運命は変わんないけど、努力してる、つまり探してるのは、すごい
 と思う。見直した。」

たまに姫菜乃ちゃんは、意味深なことを言う。真剣な顔で。よくはわかんないけど、たぶんこれは、私の座右の銘になる。

「真夏ぅー。クラスでうまくやるんだよ。私はもういないんだから、自分で何とかすんだよ。
 行き帰りは一緒だから、相談にはのれるけど。」

そのあと、他愛もない話をしてから、それぞれのクラスに分かれた。