「おい、何ボーっとしてんだよ。電車、遅れるから急いで。」

あ、恭君と10メートル以上離れてる。

ボーっとするな、私!

「ご、ごめん!」

急いで恭君のとこまでダッシュ!

ふー。

「お前、走る時すごい顔してんな。」

・・・・笑われてしまった。普通だったら怒ってるけど、恭君だったから、なんか、嬉しい気もする。

私のこと、見てくれてたんだって喜んでしまう。恋ってすごいな。

「お前、今日変だな。なんか、ぼやっとしすぎ。さっきのだって、突っ込むだろ、ふつー。」

「そう?別に何にもないよ。」

「はい、絶対なんかあったな。今日変だなって言われて、何もないって答えるの、ちょい変だし。」

ば、ばれてる・・・・。でも、ほんとのことなんて言えないし・・・・・

「恋のお悩みですかあー?」

ひぃ!追い打ちかけてきた・・・・。

「な、そ、そんなわけないでしょ!!!」

わけないでしょ・・・・・  わけないでしょ・・・・・

わりと静かな住宅街に私の声が響いた。