「ごめん真夏。帰るよって言ったけど、今日用事があって車なんだ。ごめんばいばい。」

ばいばい、と言う前に、姫菜乃ちゃんは、走って行ってしまった。

帰り、あそこまで、一人か―。

そうだ、恭君に話すネタを考えとかないと。

まずは、テスト、それからは・・・・。だめだ、思いつかないよー、

好きって意識すればするほどうまくしゃべれないんだろうな。

気付かれたらいけないから、自然体でいないと。あー、もう自信ない。

どうしよう。何話そう。

「おい。お前、なんで一人なの?」

気がつくと、恭君が目の前に。心では、キャーってなってるけど落ち着いて、冷静に。

「あの、姫菜乃ちゃんが用事、あった、から。」

うまくしゃべれないよ。もうっ!

「姫菜乃って子さ、1位だったんだろ?噂じゃ、おれの1点上。」

嘘?姫菜乃ちゃんと1点しか変わらないの?そんな人、初めて見た・・・・・・。

「まだ、きっ聞いてないけど、姫菜乃ちゃんが1位以外だったことは、1回もないから、たぶんそうだよ?」

「すげえな。頭いいって聞いたから勝ってやろうっておもったけど、無理か。」

ちょっと悔しそうな恭君の顔、超かっこいい!

って、見とれてちゃ、いけない。

「で、も、ッ恭君はすごいよ。姫菜乃ちゃんに1点差とか・・・・・す、すごすぎ・・・。」

「ありがと。」

今度は、少し笑う。ふっきれたような、そうじゃないような感じで。

もう、やばい。

私が初めて見る表情になるたびに、思いが深まる。すきが、とまんないよ。