side 姫菜乃

「篠本君・・・・入院・・・・・手術で・・・・・」

職員室に行ったときそんな会話が聞こえた。

「先生!篠本くん、入院したんですか?」

しまったという顔をされて、それでも、教えてくれた。

「君になら、いいか。あまり口外しないようにしてくれよ。・・・・昔手術した病気が出たんだと。それで、入院中。」

「病院は、どこですか?」

「そこまではね・・・・」

「いいから、教えてください。私は、昔からの知り合いだし、今も交流があります。彼はあまりコミュニケーションをとるのが得意でないので、私は、数少ない友人の中の一人です。友人として、お見舞いに行きたいのです、お願いします。」

「・・・・わかったよ。あそこだよ、えっと、この街で一番大きいところ。」

「ありがとうございます。」

そして今、恭の病室前にいる。

よかった。聴くことができて。

大丈夫かな?起きてくれてたらいいな。二人で話せるし。

・・・・真夏、誘ったほうがよかったかな?

いや、ここまで気といて何言ってんの?あんだけ真夏に冷たくしたのに。

いっぱい、傷つけたのに。

よし、入ろう。そして、いつもの調子で、挨拶するんだ。

ガラッ

・・・・私の目に入ってきたのは、ベットに横たわった恭君と、いすに座って、ベットに突っ伏すというおなじみのポーズをした、真夏だった。