「前もちらっと言ったけど、うちの両親、離婚してるんだ。お金の問題とかでね。恭の病気で、アメリカまで行っちゃったし。それが全部の原因ってわけじゃなけど、やっぱりアメリカに行かなきゃいけなかったのは大きかった。」

そう言えば・・・・最初のころに言ってたっけ。忘れてた。

「私たちは母について行くことになった。祖母の家が結構なお金持ちで、生活費は出してもらえたから、生活に不自由はなかったけど・・・・家はいつも空気が悪かった。」

ん?恭君がアメリカから帰ってきたのっていつなの?

「あの、先生。恭君が日本に戻ったのはいつですか?。」

話の途中で聴くのは悪かったかな?

「ああ、中2の秋。出席日数は少ないけど、あっちの学校通ってたんだ。だから、学年の終わりが夏で、きりが良かったから。」

え、じゃあ、近くにいたってこと?私が会いたくて仕方なかった時も?

そんなーーーー。

「あの、帰ってきてから恭君はどこに住んでたんですか?」

「母の実家。結構遠いところにあるの。」

だから、会えなかったんだ。

「で、どこまで話したっけ・・・・。あ、そうそう、アメリカから帰ってきたら、とりあえず、前に住んでた家に戻ったの。でも、恭は・・・・学校には行かなかった。なんで家はわからないけど。それで、アメリカで使ってしまったお金のこととか、学校に行かない今日のこととかで、両親が不仲になって、4月には離婚して、母の実家に移ったの。でも、祖母も厳しい人で、肩身が狭かった。そのせいで、母も機嫌が悪くて、何かあるたびに、恭に当たってた。離婚したのはあんたのせいだって。あんたなんか産まなきゃよかったって。それで、今みたいな恭になった。」

嘘・・・・そんなことがあったの?

なんてつらかっただろう。私には一生わからないつらさだろうな。

「母は肩身が狭いことに耐えきれなくなって、私が今の学校に配属されたのをきっかけに、今住んでるとこに引っ越した。やっと、うまくいってきてたのに。」

ごめんなさい・・・・私が、壊したんです、幸せな生活を。

「まあ、こんな感じで、母とは仲良くないから、たぶん私しか来ない。」