記憶が、消える・・・・。恭君が恐れていたことだ。

それを、私が、私が!

「とにかく、今できるのは、信じて待つだけだよ。われわれも最善を尽くすから。」

・・・・確かにそうだよね。落ち着かないと。

「で、その時のことを全部話してごらん。」

そっか、その話だった。

私は、昔のこと、そして今日までのことを全部話した。

話していて、涙がこぼれてきたけれど。

「・・・・なるほどねえ。君の恋心云々は別として、それが病気がわかってから今日までの流れか。・・・・まあ、今回のことで記憶が混乱して今の状態になったんだろうね。神経をきちんとすれば、たぶんいいんだろうが・・・・・・。」

やっぱり、私が告白したからなんだ。

今までもそう考えてたけど、憶測にすぎなかった。

でも、本当にそうだったことを告げられるとつらい。

「いいよ。ありがとう。帰って休みなさい。あの子のことは報告してあげるからね。ときどきお見舞いに来てくれるといいね。ご家族の方はなかなか難しいようだし。」