「………」

「………」


少しの間沈黙が続く


彼女は僕をじっと見つめたままなにかを思いついたように立ち上がり


鉄格子の近くで待っている管理者に何かを囁くと


管理者は鉄格子の外にでていきすぐそばで柱によしかかり時々チラチラとこちらを確認している



彼女は再びこちらに戻って僕に少し近づいた


僕が何も反応しないのを見ると
 
ジリジリと距離を縮めていく


そして彼女の手が僕のお腹に触れる


虐待されていたときの記憶が蘇る

部屋に響く僕の鳴き声

どすどすと腹が蹴られる音

寝ていた体がビクリと動き瞬時に立ち上がる 

「ワンッ」
ヴーっと彼女を威嚇すると彼女は目を丸くして手を引っ込める


驚きと恐怖、焦り
彼女の瞳にはそんな感情がうつっていた