(一宮さんは女じゃん。)
早川に言われた一言に頭のなかに不思議な感情が浮かぶ。
ん?...んん?もしかして今女の子って言ってくれた?
ただそれだけの事なのに自然と頬が熱くなる。嬉しい。
早川を直視できず、思わず下を向いてしまった。
「......ぶっははは」
突如聞こえた伸二の笑い声。
そうだ、こいつがいたんだった。ヤバい、からかわれる。
「そーいやそーだった。ブハハハハ。」
思った以上にかるい反応で安心した....
って違う!私今、めちゃめちゃ侮辱されてる!
「ちょっ....伸二!」
笑い続ける伸二を睨んだ。
すると今度は伸二より少し落ち着いた早川くんの笑い声が....
最初は私も怒っていたが、いつのまにか一緒になって笑ってしまった。

なんだ、早川って意外と面白いじゃん。
なんかずっと前からいたような友達のみたい。
そう思えてきた。

笑い声にのまれ
いつのまにか早川に対する否定的な気持ちと、今日知った初めての感情を
私は忘れていった...。