「たーいーくーつー。」
思わず大きい声を出してしまった。
今は、入学式が終わり、新しい教室に移動している途中。
入学式ってどうしてこんなにたいくつなんだろ?
いっそのことパーティーにした方が絶対いいのに。
そんなむちゃくちゃなことを考えていると、教室に着いてしまった。

私の席、どこだろ?キョロキョロしていると一人の眼鏡男子が話しかけてきた。
「一宮さん....?だよね?」
うわあこいつ超真面目そう。苦手なタイプだ。
「そうだけど。」
私がそっけなくいい放つとその男子は
「俺となりの席の早川です。よろしく」
わっ、最悪授業超退屈になるじゃん。内職もできそうにない。
私は重たい気分で席に着いた。

ホームルーム終了後
「一宮、部活どうすんの?」
席を立とうとすると同じ中学でチームメイトだった伸二が声をかけてきた。
「マネージャー?」
「うっわ、お前がマネージャーとか気持ち悪。」
「うっさい(笑」女の子扱いされてないことなんて等の昔にわかってる。でも、面と向かっていわれるとなんか傷つく。その思いを隠しながら軽口を叩き、帰る支度を始めた。
すると突然伸二が隣の早川に
「早川、久しぶり」と声をかけた。
知り合いかな?
興味がないので無視して帰ろうとした時、
「なー早川。一宮がマネージャーとかなくね?あいつマジ男だからな。」と冗談めかして言った。
伸二、お前友達じゃなかったらぶっとばしてたとこだぞ。
あー。どうせ高校でも男扱いされるんだろうな。
その会話を無視して出口に向かおうとしたとき、
「は?一宮さんは女じゃん。」

皆の声がするなか、早川の声だけがはっきりと聞こえた。