「___姫さま、待ってください!」



「ごめんなさい、私はもう月へ帰らなければならないの。」



「私は、姫さまを愛しています、!誰よりも....」


彼は懸命に彼女を呼び止める
その顔は
悲しみに溢れていた





「....えぇ、知ってるわ。

__きっと私は恋をしてるわ

私もあなたしか愛せない」




そう誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた




月が高く昇るにつれ、彼女の身体も徐々に透けていく。
そして彼女の体が少し浮くと
その美しく綺麗な顔は月の光で照らされた



「っ、姫....」



彼女の頬には一筋の涙が伝っていた



月が昇り、彼女の姿が月に消えかける
そして消える寸前、彼女の口元が小さく震えた





「ありがとう。愛してるわ」





そう動いた。

聞こえた訳ではないのに、何故か彼女の声が近くで聞こえた気がした。




「はい、私もです。かぐや姫....。」