「え…」

自分で撫でておいて、驚いた。


「さ、触れる…?」


彼のサラサラとした灰色の髪の感触は

わたしの手を通じて、確かに感じ取ることが出来た。


「…え…ちょっと待ってよ…。
死神って触れるもんなの!?
てゆうか、死神ってもっと、何かこう……黒マント被った…骸骨みたいな…」

「そんなの…ヒトが勝手に考えた姿にスギない。
悪魔のように、黒ズクメの天使もいれば、とても愛らしい姿の悪魔もイル」


ロンドは、わたしが撫でた髪を、照れたようにいじりながら言った。

そしてレースの付いたロングコートの裾を閃かせ

空を抱き締めるように手を広げ

クルリと一回転した。


「ボク…ソラ…スキ。
イチゴサンは、どお?スキ?」


青く、澄んだ空を

本当に、愛おしそうに見つめていた。


「好きよ。きれいよね、空。
わたし、ソラって名前がよかった…」


わたしも、吊られるように空を眺めた。


青く、ピュアな色に彩られた無限大のパレットは

自分の両手で抱き締めれそうだし

逆に自分を抱き締めてくれるようにも感じた。