「ボクも…トモダチいない。
だから、ボクと、トモダチ…なろう?」

「…あなた…妖精?」


男の子はゆっくりと首を振った。


「ボクは…ロンド」

「…ロンド……輪舞曲…?」

「ボクは死神」

「死神?わたし、死ぬの?」

「……さぁ?ボクは、キミが呼んでるように聞こえたからキタだけ。
キミが死ぬかどうかは、わからない」


輪舞曲、ロンドと名乗る少年は、軽やかな動きで木から下りた。

そして上品な足取りでわたしの目の前まで来た。


「キミ、名前は?」

「…日野苺子。
苺の子と書いて、マイコ。
昔はイチゴって呼ばれてたけど、今は、蛇苺って呼ばれてる」


中途半端な異性関係続けてたら、いつのまにか皆そのあだ名で呼んでいた。


見た目は可愛い苺なのに、本当は毒苺。



わたしの大嫌いなあだ名。


苺でさえ、あまり好きじゃないのに…。


「じゃあ、蛇苺サン…デスネ」

「そのあだ名で呼ばないで!!」

「…スイマセン」



ロンドは伏し目がちにぺこりと頭を下げた。


その仕草が、見た目に似合わず、あまりにも可愛らしかったので

思わず頭を撫でてしまった。