声が筒抜けだったのだろう。

ロンドは、複雑そうな顔をしていた。


「そんな…拓海…」

拓海は四歳離れたわたしの弟だ。


すると突然

「ソウカ!!」

と、ロンドが声を上げた。


「な、何?」

「ボクが延ばしたイチゴサンの寿命の分、タクミクンの寿命が縮んだんデス」

「じゃ、じゃあ運命通り、わたしが死ねば?」

「タクミクンの寿命が延びます」


わたしはロンドに縋った。


「じ、じゃあ!わたしが死ぬ!
そしたら拓海は助かるんでしょ!?」


「そんなコトをすれば、アナタのお母さんやお父さんが悲しみマス」



「大事な弟が死ぬほうが嫌よ!!

ロンドがいなくて、拓海もいない世界で生きていたくなんかない!!

わたしは、わたしの運命に沿うから……」



ロンドは小さくため息を吐き

わたしを屋上へ連れてきた。


「ボクは、先に行って待っていマス」

そう言うと、ロンドはフェンスの向こう側に、ふわふわと浮いた。