「……何て顔してんだよ、ばか」
「は……?」
「そんなによかった?
チョコレート味のキス」
「なっ…!?」
「お望みならまたしてあげるけど」
「そんなこと望んでなっ…んンっ…」
答える前にまた唇を塞がれる。
いくら抵抗をしてみても解放してくれるどころか、びくともしない光輝の腕。
こういう時に男の人なんだなぁ…と思う。
あたしがいくら頑張っても敵わないんだ。
「ふぅ…ん……」
自分のものとは思えないほど、甘い声が漏れて恥ずかしくなる。
それと同時に体の力がみるみる抜けていくのが分かる。
そして、かくっと体が崩れかけた時。
待ってました、と言わんばかりに光輝があたしのことを抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っことかいうやつだ。
「はっ、ぁ……」
それでもなお光輝からの甘いキスは止むことがない。
さらに、光輝はすっかり抵抗することを諦めたあたしをベッドに下ろして押し倒した。
唇が離れたのはいいものの、この体勢は明らかにまずい。
でも、働くのは思考回路だけで体は言うことを聞いてくれなかった。