お母さん! と慌てて呼びながら店内に駆け込む娘を見て、おばさんは一瞬で何事か、理解したようだった。

「瀬田君! 
やっと試着に来たのねぇ、明日よね、すぐ出すわ、いらっしゃい」

と、喫茶店の上にある立花家へ案内される。
初めて立花の家に上がる。
鼓動が高鳴るのを感じた。

通された居間は、シンプルで温かみがあり、立花親子そのもののように思える。

おばさんはお茶を出して
衣装を出しに、奥の部屋へと引っ込んでいった。