「ひっ、じゃないでしょう?
ほら、いっておいで?」

ためらう美空を鈴木が見送って、俺は美空の手をとった。

「ほら、行くぞ?」

「あ、ちょっと……」

転びそうだしうろたえてるし、ゆっくり進んでやりたいとこだけれど、舞台も観客も皆待っている。
待たせるわけには行かなくて、ちょっと急いで進んだ。
後ろからひょこひょこと危なっかしい足取りで、美空は仕方なく着いてきた。