ぎゅっとタキシードを握って、じっと立ちすくむ紅い顔で潤んだ瞳の美空は、それはそれは可愛くて。
しかもただ可愛いだけじゃなくて、衣装もそうだけど、鈴木の施したメイクも効果絶大で、いつも以上に可愛い。
もうダメ。なんだ、これは。

下を向いた拍子に落ちたヴェールを、上げる。

「バカ美空。
可愛すぎる……」

どうしてこんなに可愛いんだろう。
こないだの夜を思い出しておでこにキスを落とせば。
会場は一気に湧き上がった。