「あと、えと、……1年5組の立花です……。
えと、なにも考えてなくて……。
恥ずかしくて、ごめんなさいっ!
なにも言えません!
でも、怖いのは嫌なので、怖くしないでください、ごめんなさい!」

一瞬、観客席がしんとなった。
俺も驚いて動きが止まった。

隣で恥ずかしそうに、ぎゅっとタキシードの裾を握る彼女を見て、我に返る。