恥ずかしがってヴェールをあげたがらない美空に、野次が飛ぶ。

「顔を見せないと採点できないぞ?
ヴェールを上げろ!」

「何か言うか、何かしろ~!」

「あ~、すみません、うちの嫁は恥ずかしがりなんです。
あんまりいじめないでいただけます?」

俺は、採点なんて別にいいんだ。
美空とこの格好で、仲良く舞台に出れば、美空狙いの男を牽制できる。
それが狙いだから。

それでも、野次は止まらなかった。