あたしは逃げ場がなくて、その場にズルズルとしゃがみ込んでしまった。


「この部屋を用意したのも俺。監視カメラを移動させたのも俺。それに、2人目の被害者、笹畑望を殺したのも、俺だ」


叶さんはそう言い、あたしに顔を近づけてくる。


「どう……して……?」


恐怖で声が震え、涙が流れた。


「どうして? 理由なんて1つだろ?」


目の前で叶さんがニヤリと笑う。


「俺は虹色1人を加害者にはしたくなかった。だから、一緒になって犯行に及んだんだ」


「え……?」


あたしは小刻みに震えながら、どういう事かと考えを巡らせる。


その瞬間、叶さんがあたしの前髪を鷲掴みにし、無理矢理顔を上に上げさせられた。


「まだ気が付かないのか、鈍感女め」


そう言う叶さんの目は氷のように冷たく、全身がゾクゾクと震えあがるのを感じた。


「俺は虹色の事が好きなんだよ、わかるだろ?」