「……なっ?」
牢人が驚愕に目を見開いた。
突き出した牢人の刀が空を裂いたとき、下腹部から左肩にかけて、銀色の閃光が走ったのが見えた。
「……」
かしゃん、と刀を握ったままの左手が地に落ちた。
それを追うように、がくりと牢人の膝が折れる。
「……何が……起こったのだ」
言いつつ視線を落とした牢人の身体は、右の下腹部から斜めに斬り上げられ、左肩に抜けている。
その過程で、刀の軌道にあった左腕も斬られたのだ。
左腕があったため威力は半減したようだが、障害なく身体に斬り込まれていたら、胴を両断するほどの深い斬撃だ。
斬り裂かれた傷口からは、臓腑が覗いている。
「何だ……今のは……」
一瞬の出来事が信じられないというように、牢人は呟き続ける。
林太郎は立ち上がると、刀に血振りをくれ、鞘に納めた。
「伯耆流居合術」
伯耆流居合術は、通常の居合よりも体勢が低い。
さらに小柄な林太郎は、己に合うよう独自に技を編み出した。
右足を大きく踏み込み、左足は膝が地に着くほど伸ばす。
その低い体勢から逆袈裟に斬り上げるのだ。
小柄な林太郎は、相手の視界から消えたようになる。
林太郎の答えと同時に、牢人の身体が傾ぎ、どぅ、と前のめりに倒れた。
*****終わり*****
牢人が驚愕に目を見開いた。
突き出した牢人の刀が空を裂いたとき、下腹部から左肩にかけて、銀色の閃光が走ったのが見えた。
「……」
かしゃん、と刀を握ったままの左手が地に落ちた。
それを追うように、がくりと牢人の膝が折れる。
「……何が……起こったのだ」
言いつつ視線を落とした牢人の身体は、右の下腹部から斜めに斬り上げられ、左肩に抜けている。
その過程で、刀の軌道にあった左腕も斬られたのだ。
左腕があったため威力は半減したようだが、障害なく身体に斬り込まれていたら、胴を両断するほどの深い斬撃だ。
斬り裂かれた傷口からは、臓腑が覗いている。
「何だ……今のは……」
一瞬の出来事が信じられないというように、牢人は呟き続ける。
林太郎は立ち上がると、刀に血振りをくれ、鞘に納めた。
「伯耆流居合術」
伯耆流居合術は、通常の居合よりも体勢が低い。
さらに小柄な林太郎は、己に合うよう独自に技を編み出した。
右足を大きく踏み込み、左足は膝が地に着くほど伸ばす。
その低い体勢から逆袈裟に斬り上げるのだ。
小柄な林太郎は、相手の視界から消えたようになる。
林太郎の答えと同時に、牢人の身体が傾ぎ、どぅ、と前のめりに倒れた。
*****終わり*****