着いたのは見慣れた旅館


咲「さくら旅館じゃん」


誕生日とか、特別な日はよくさくら旅館に泊まってた


すごい久しぶりだけど、ちゃんと覚えてる


『お待ちしておりました。』


女将「福原様。お待ちしておりました。
咲ちゃんも凪ちゃんもお久しぶりです」


咲「女将さん!みなさんも!」


凪「お久しぶりです。」


女将「お相手の方はもうお見えになってます。ご案内いたします。」


咲、緊張してるのかな。


顔がかたいよ。


女将「こちらでございます。」


咲父「ありがとう。」


女将さんはすぐにどっかに行っちゃった


お部屋が2つあるように見えるのは私だけかな?


咲父「2人とも、この奥にはお相手の方がいるけど、どっちか選んで?」







そういうことか!!


人生の岐路に立ってるってこと?


咲「私こっち」


咲は右側の方の部屋を選んだ。


自動的に私は左側の部屋になる。


どーしよ。


あっちがイケメンでこっちがおじさんだったら。


ハゲてる人だったら?おデブの人だったら?



そんなのいやだ!


足が震えてる。


膝がガクガクして立ってるのだけで精一杯


咲父「行ってごらん。
俺は隣で待ってるから。」


凪 咲『行ってきます』


ふすまを開けた


凪「失礼します。
は、は、初めまして、神崎凪です。」


噛んじゃったーーーー!!


「そんなところに立ってないで
どうぞお掛けください」


凪「失礼します」


なんか、面接みたい。


ガタガタの足を動かして相手の正面に座った


「凪さん?だっけ?」


凪「はい。神崎凪です。」


思ったよりもイケメン!!


ってか、すごくかっこいい!!


こんなかっこいい人世の中にいるんだね


声もハスキーで……


ヤバい!今頃緊張してきた


「俺は、国山信。
信って呼んで。よろしくな」


凪「……くにやま?」


どっかで聞いたことあるような、ないような


まぁ、後でわかるか!


凪「あの、質問していいですか?」


信「どうぞ?」


何も知らないから聞いとかなくちゃ!


凪「お幾つですか?」


信「17」


あ、同じだ


ってことは、高校生ってことだよね?


凪「どこの学校ですか?」


信「青嵐だけど」


一緒じゃん!!


しかも同じ学年!


なんで今まで気がつかなかったんだろう


こんなイケメン


信「お前は?」


凪「私も17で、青嵐です」


聞き返すってことは少しは興味持ってくれたかな?


信「まぁ、どーでもいいけど」


どーでもいいんかい!!


だったら聞かなくてもいいじゃん


信「なぁ、逃げ出さね?」


凪「どこにですか?」


信「てきとーだけど。ここに居たくないんだよ」