「じゃ、遅刻しないでね」

「ん」

杉下くんから返事がきたことを確認すると、家を後にした。

マンションを出た瞬間、誰かからの視線を感じた。

首を動かして、キョロキョロと周りを見回す。

集団で学校へ向かう小学生にゴミを収集する業者の人たち、私と同じ会社へ向かおうとしているサラリーマンがいるだけだった。

いつもと同じ朝の風景である。

「気のせいかな…」

髪の毛のこともあるから、ちょっと神経質になっているだけなのかも知れない。

そう思った後、いつものように駅へと足を向かわせた。