新聞を取ろうとしたら、郵便受けから髪の毛が出てきた――まさにホラーである。

「とりあえず、片づけるぞ」

「あっ、うん…」

ほうきとちりとりを取り出すと、地面に落ちている髪の毛をゴミ箱に捨てた。

「朝から気持ち悪い…」

杉下くんはやれやれと息を吐いた後、頭が痛いと言うように指でこめかみを押さえた。

「杉下くん、大丈夫?

朝ご飯、私が代わりに作ろうか?」

そう言った私に、
「大丈夫だ。

朝飯は俺が作るから、高浜は会社へ行く準備をしていてくれ」

杉下くんは答えると、キッチンへと足を向かわせた。

その後ろ姿を見送ると、私はドアに視線を向けた。

「――まさか、ね…」

首を横に振って呟いた後、会社へ行く準備をするために自分の部屋へと戻った。