「本当に何もないよ…」

私は首を横に振って答えた。

「今日取引先に出すはずだった資料を出していなかったし」

「えっ?」

今日取引先に出す資料って…。

しまった、忘れてた。

と言うか、確認もしていなかった…。

「それに関しては俺が帰るついでに出したから大丈夫だ」

そう言った杉下くんに、
「ありがとう…」

私はホッと胸をなで下ろした。

「次からはちゃんと気をつけろよ。

今回は俺が気づいて取引先に出したからよかったけど」

「うん、気をつけるね」

返事をした私に、
「じゃ、すぐに飯にするから」

「わかった」

杉下くんに返事をすると、私は部屋へと足を向かわせた。