スーツ姿だと言うところを見ると、新一も会社帰りだと言うことがわかった。

だけど…同じタイミングで、それも私の前に現れたと言うこの状況はどう言うことなのだろう?

そう思いながら新一を見つめていたら、
「何で無視したんだ?」

新一の唇が動いて、音を発した。

「――無視って…」

そう音を発して動かした私の唇は、震えていた。

この震えの原因を寒さのせいにすることができたら、どんなに楽なのだろうか?

「この間は電話、今日は名前を呼んだのに答えなかったこととメールを無視した。

何で無視したんだ?」

そう言った後、新一は私を見つめた。