「本当のところはどうなのかは、父さんが死んだ今ではわからないけどな。

ただ単にめんどくさかったからって言う可能性もある訳だし」

ハハッと杉下くんは笑った。

「でも…正直なことを言うと、嬉しかったよ。

父さんの子供でよかったって思ったよ。

高浜のおかげだな」

そう言った杉下くんに、私の心臓がドキッと鳴った。

「高浜が言わなかったから、父さんに会いに行けなかった。

こうして父さんにお別れを言って、見送ることもできなかった。

だから本当に、高浜には深く感謝してるよ」

「そんな、私は何も…」

目の前に杉下くんがいる訳じゃないのに、私は首を横に振って否定をしていた。

「明日、俺帰るじゃん」

そう言った杉下くんに、
「帰るね」

私は言い返した。