「本当を言うと、父さんといろいろな話がしたかった。

だけどそれは、生まれ変わった時の楽しみに取っておくよ」

笑いながらそう言った杉下くんに、
「いつ頃の話になるのよ」

私は笑いながら言った。

「昨日の通夜で父さんの親戚の人から聞いたんだけどさ、父さんの子供は俺しかいないんだって」

杉下くんが言った。

「えっ?」

そう聞き返した私に、
「再婚はしたんだけど、その人との間に子供は作らなかったんだ。

彼女が子供が産めない体質だったからって言うのももちろんあるけど、俺のことを愛していたんじゃないかって。

現に定期入れに俺が赤ちゃんの時の写真を入れて持ち歩いていたくらいだから」

杉下くんが答えた。