おばあさんの前ではちゃんと婚約者を演じてたはずだ。

なのに、どうしておばあさんは私たちの関係を見抜いたのだろうか?

「ああ、そう言うことね」

おばあさんはフフッと微笑んだ。

「和泉はね、ウソをつくと眼鏡をさわるくせがあるの」

おばあさんはそう言って眼鏡の柄にさわる仕草をした。

「えっ、そうなんですか?」

全く知らなかった事実に私は驚いて聞き返した。

あの杉下くんにそんなくせがあったとは思っても見なかった。

「初めてあなたを婚約者だと紹介した時、あの子はすぐに眼鏡をさわったわ。

だからウソだと言うことを見抜くことができたのよ」

さすが、おばあさんだと思った。

杉下くんのことをよく理解しているだけじゃなくて、彼のことをちゃんと見ていると思った。