「――思ってないです…」

呟くようにそう言った私に、
「じゃあ、あの子からの返事を待ちなさい。

家を探すのも、引っ越しの手続きをするのも、全て返事を聞いた後にしなさい」

おばあさんが諭すように言った。

「はい、わかりました…」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「今はつらいかも知れないけれど、あの子から返事がくるのを待ちなさい。

考える時間が欲しいと言ったんですもの、きっとあの子はあなたに答えを言うと思うわ」

おばあさんの言葉が胸に深く染みた。

杉下くんの親代わりをしていたと言うこともあってか、彼のことをよく理解していると思った。

「あの…」

私はうつむいていた顔をあげると、おばあさんを見つめた。

「いつ…なのかどうかはまた聞きますけれど、どうして私と杉下くんの本当の関係がわかったんですか?」