「見つかったら、すぐにでも出て行きます。

いつまでも杉下くんに甘えている訳にはいかないので…。

もちろん、杉下くんのことも…」

「――本当にそれでいいの?」

私の言葉をさえぎるように、おばあさんが言った。

「えっ?」

何がそれでいいって言うの?

言われた私は訳がわからなかった。

「和泉が好きなんでしょう?」

そう聞いてきたおばあさんに、
「はい」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「好きならば、どうしてあきらめるのよ?

それにまだ和泉から返事も聞いていないんでしょう?

返事も聞いていないのにあきらめるなんて、あなたはそれでいいと思っているの?」

おばあさんの目からそらすように、私はうつむいた。