「もう、杉下くんのことをあきらめようかなと思っているんです…」

呟くように言った私に、
「えっ?」

おばあさんは訳がわからないと言うように聞き返した。

「和泉のこと…」

「好きです。

好きだから、もうあきらめたいんです…」

おばあさんの言葉をさえぎるように、私は言った。

「返事は何日でも何年でも待つからと、私は言いました。

それでも杉下くんは私に優しく接してくれているからいいんですけど、本当はつらいんです。

私はいつまで、そんな彼の優しさに甘えていいのかわからなくなるんです。

この間からまた家探しを始めましたし…」

そう言った私に、おばあさんの目が驚いたと言うように見開いた。