先に沈黙を破ったのは、
「和泉には気持ちを伝えたの?」

おばあさんからだった。

「えっ?」

その質問に、私は驚いて聞き返した。

気持ちを伝えたのって、どう言うことなの?

まるで私と杉下くんの関係を知っているような言い方だ。

いや、おばあさんの前では婚約者を演じていたはずだ。

そもそも、私たちの関係は婚約者なのだから。

「和泉のウソに、つきあってあげていたのでしょう?」

そう言ったおばあさんに、私の心臓がドクン…と変な音を立てた。

「――あ、あの…」

何かを言おうと思っても、声が震えているせいで何も言うことができない。

おばあさんは気づいていたの?

私が杉下くんの婚約者を演じていることをわかっていたの?