おばあさんは微笑むと、
「無理をしなくてもいいのよ」
と、言った。

「えっ?」

私は聞き返した。

「本当は、一緒に行きたかったんでしょ?

あの子のそばにいてあげたかったんでしょ?」

そう聞いてきたおばあさんに、
「はい…」

首を縦に振ってうなずいて、呟くように返事をした。

「その…少しだけ、期待をしていたんです。

和泉さんから、ついてきてくれるかって言われることを期待していたんです…。

しょせんは、私の勝手なんですけどね」

そう言った後、自嘲気味に笑った。

「本当に和泉のことが好きなのね」

「はい…」

呟くように返事をした後で、私たちの間に沈黙が流れた。