翌日も仕事を終わらせると、家ではなく会社の近くにあるパスタ店へと足を向かわせた。

家にいると考えてしまうのは杉下くんのことだ。

店員にメニューを頼んだ後、昼休みにコンビニで配布されていた住宅情報誌をカバンから取り出した。

「どこがいいかな…」

気になった物件のページに付箋をつけながら、次に住む部屋を探した。

杉下くんからの着信は当たり前だけど、なかった。

パスタ店を後にすると、不動産屋に行って店頭に貼られている物件のチェックをした。

「高いなあ…」

家賃10万円って、新築だからかも知れないけれどないんじゃないかしら?

私は息を吐くと、不動産屋を後にした。

「そう言えば…」

もうすぐで週末だと言うことを思い出した。

日曜日には杉下くんが帰ってくるけれど、その前の土曜日はおばあさんのお見舞いである。

「何か持って行った方がいいかな…」

そう呟いた私の声は、誰にも聞かれることなく静かに消えて行った。