どうするべきなのか錯綜していると、ふと口を開いた日下さんは、自棄に真面目臭い口調で話す。

「…ところで柏木。佐々木さんが言っていたドア枠の納品場所って何処だ?」

「え、えっと…。イートアップです、施工は今日の予定でした」

 急な変化はそれでなくたって反応がよろしくないのだ。レスポンスに手間取ってしまう。


「あぁ、島野さんのか…。それと、お前等が旭川に行くことになった原因は何のミスだったんだ?」

「元々は搬入事故で製品が使えなくなったのが原因でした。再発注して真物は納品になったんですが、部品の発注をし忘れたらしいです」

「誰が?」

「誰が…? 誰がって、商品部としか聞いてません。陳列棚はうちの什器なので商品部へ発注かけて…」

「商品部の担当は誰か聞いてないのか? 発注書の担当印は…、まぁ、見てたらわかるか」

 誰のミスだろうと、タイトなスケジュールの中で起こったミスに工程を組み直すほどの余裕はなく、あの時はとにかく部材を届けなければ。としか考えていなかった。


「…はい、…すみません。でも、確か、…原因調査して報告するようなことを言っていたと部長から聞きました」

「…で、報告はあったのか?」

「いえ、私の耳には入ってません」

「報告書や顛末書は出てるのか? その旭川、うちのアシスタント担当は誰だ? まさかお前じゃないだろうな」

 報告は聞いていないのだからもちろん、顛末書や報告書の類いが提出されているかどうかも知り得ない。首を左右にゆっくりと振り、口を動かす。


「食品売場の1階を受け持っていた一課とは違って、幾つものショップを受けていた二課は特に決まってませんでした。長島さんや島野さんが自らヒアリングやアシスタントに入ったりしてました。でも、…全て部長決裁の元で動いてました。旭川は部長の案件でしたので」


 それらのことがなんだと言うのだろう。再発防止に努めろってことなのだろうか。


 第三者の責任の所在には誰よりも興味なさそうな人なのに。