『それはよくわかる、資格は資格でしかない。初めから上手くできる奴なんていないよ。何度も失敗を経験して、解っていくものだと俺は思ってるけど? 生かすか殺すかは自分の魅せ方次第。魅せ方、ちゃんと解っているのに。って、その前に隠してたけどな』

『魅せ方次第…』

前川さんも最初から出来る奴はいない、何度でも失敗しろと言っていた。

『それはそうと、綺麗だったっていう柏木のモデル姿見たいな?』

真面目な顔つきをしていた彼は、急に面白そうな笑みを含ませる。
 
『え…? いや、いや…。ダメ、ダメですっ。それだけは絶対見せません!』

『そこまで拒絶しなくたっていいのに』

『じゃ、じゃあ主任は学生時代の写真見られたいですか?』

『見られたいか、見られたくないかで言えば、あまり見られたくはないけどさ。それとは違うだろ? 綺麗だったって聞けば見たくなるだろ?』

『それはそうかもしれないですけど…。でもダメです、見せられませんっ』

『なんて、頑なな。…わかったよ、諦めましょう』

割とすんなり引き下がってくれてほっとする。見られたくないよりも、見せられるか、見せられないか、だった。

帰って写真を探そうと思った。 

『今日は顔見せだけの予定だったんだけど、見積もりが早く出来上がったから取り敢えず、一歩前進。よく工務店見つけられたな?』

『それは…。日下主任が助けてくれて』

助けられた時の昨日の話しをした。眉を片方だけ持ち上げ訝しい目つきで真っ直ぐ見据えていた。

『日下が…?』