変な人だと思ったのは本当だった。

前川さんが残って、森田さんがいなくなってから人手が足りない中で、足手まといな私の面倒は誰も見たがらなかった。それぞれが自分の抱えている仕事で精一杯だった。とにかく、みんなが走り回っていた。

話は聞いてくれるし、助けてもくれるが所詮、他人事だった。

ただでさえドジで、足を引っ張るだけの私は、出来るだけみんなの迷惑にならないように努めていた。

悩んだり困ったりしていると、何も言わなくてもすぐに助けてくれたのは彼だった。いつも彼の仕事の邪魔をしているような存在で、煙たがられても特段おかしくはないのに、いつも気にしてくれた。

いつだって助けられていた。だから、変な人だと思っていた。放っておけばいいのにと、心の中で感謝しながらそう思っていた。

お人好し過ぎる変な人なんだと思っていた。

いつも助けられてばかりだったから、恩返しと言えば大袈裟かもしれないが、いつかきちんと返したいとひっそりと願っていた。

彼の、初めての案件。

やっとその時が来たのかもしれないと、私は帰るのも忘れてしまいそうになるくらい、真剣に向き合っていた。