大急ぎでシャワーを浴びたが、困った事に着替えがない。仕方なくバスタオルを借り、それを腰に巻いた。

 元いた部屋に戻ったが、そこにチーフはいなかった。あ、そうか……

 寝室へ行くと、やはりチーフはそこにいた。カーテンは閉め切られているが、外はまだまだ明るく、部屋の中も薄暗い程度だ。

 職場の連中は今頃仕事をしているわけで、俺達だけこんな事をしていいんだろうか、といった事が一瞬脳裏を過ったが、あえてそれは無視する事にした。


 チーフはベッドに上を向いて寝ており、顎の下まで掛け布団を掛けていた。つまり、見えるのは顔と腕だけだ。ちょっと、おもしろくないかな。


「知君って、思ったより痩せてないんだね」


 俺が側に行くと、チーフはそんな事を言った。顔は真っ赤だった。

 しかし変だな。チーフが俺の体を見るのは、今日が初めてじゃないはずなのに。あの夜、俺は記憶がないが、俺とチーフはやったはずだから。


「隣に入らせてもらいますね」

「う、うん」


 チーフはもぞもぞと横にずれてくれ、俺は座って掛け布団をめくろうとしたのだが、チーフは慌てて手で布団を押えた。だが、チラッと見えた。チーフの、雪のように真っ白な肢体が。


「服を脱いだんですか?」

「う、うん。いけなかった?」

「そうですねえ。俺はどちらかと言うと、“脱がせたい派”かな」

「そ、そうなの? じゃあ着ようか?」