普段の勉強は、数学なり古文や世界史、物理、英語などである。


無論、通常の学習内容も授業ではある。


しかし、教材が何かおかしい。


例をあげるなら、
英語は、古代魔導古文書の英訳内容であり、授業は英語で進行する。


専門的な内容の上に、クラスメート全員が流暢な英訳で話をするため、
理解する間もなく、授業は進んでいく。


数学に関しても、全く習ったことの無い公式が用いられ、次々と問題が展開していく。


香織にとって、それはとてつもない驚異だった。

具体的な計算に基づいた魔導式の構成方法。
この術でどれ程の威力が算出出来るのか。

精霊との対話や、力の利用。


どの学問も、香織にとって知ることの無かった世界であった。


と、

同時に、

自分が置かれている立場と言うか、自分の状況を否応なく理解させられていた。


空想や、妄想。
想像や創作。

その世界でしか表せないであろうファンタジー溢れる目の前の現実。


実際に魔導師はこれ程沢山存在し、
認識できない見えざる者の存在をも捉えて、
真剣に学ぶ学生。


香織には異次元に足を踏み入れたような、妙な感覚に覚えた。


初日の香織は、白昼夢の様な感覚を反芻し、
ただひたすらに、教室の空気に慣れる努力をするのだった。