「香織さん。あなたは本当に肉体の腐敗も進まず、損壊もしない不老不死なんですか?」


「過去の文献で、甦りと言うものが、民間伝承に記載されていましたけど、あなたのような方を言っていたのでしょうか?」


「肉体は完全に焼却や、粉砕しても、虔属主が消滅しない限り、時間を掛けて再生すると言うのは、本当なのですか?」


「身体能力は常人の7倍発揮できて、調節は可能なんでしょうか?」


矢継ぎ早に香織に質問を浴びせるクラスメート達。


香織は、面喰らい、閉口した。

そんな、自分でも今の体の状態が解っていない上に、
クラスメートの方が、自分よりも自分の状態を知っているような質問。


香織は何と答えて良いのか、窮していた。



「ほら、皆さん。静粛に。
香織さんが困っていますよ」


担任教師が、クラスメートに注意を促す。



「聞きたい事も多々あると思いますが、まずは皆さん、香織さんともっとコミュニケーションをとり、卒業までの短い間、仲間として助け合い、良いクラスにして参りましょう」


教師はそう告げて、香織を席に案内した。


教室は依然ざわついていたが、香織の着席と共に、授業が始まると、水を打ったように静かになった。



「ああ・・・私、やっていけるのかな・・・」


声にならない声で、香織は呟いた。


香織は隣の席の男子に、教科書を見せてもらう。


「えっ!?何これ・・・」



教科書の内容は、

「精霊と魔導〜3〜
自然物質に宿る生命活性に伴う魔導の実践」


で、あった。



「高校生の、って言うか、学生が真面目に中二病みたいな事を、やってる・・・」



香織は、愕然とした。