「おめぇは、いつになったらちゃんと覚醒するんだよ」
不意に月山いりえは、鉄観音に聞いてきた。
「はあ?覚醒ってなに?」
「かあぁ〜っんな事も知らねえの?
つまり、おめぇは、いつ死ぬんだって聞いてんだよ」
「し、死なないよ!まだまだ生きるよ!」
「あのな、鉄。頭の良い吸血鬼ってのは、とっとと自殺して、本来の姿になってハーレムを作るものなんだよ」
「・・・うん。だから何?」
「そんで、人間やってた期間が短い吸血鬼で、しかも自殺なんかした奴は、覚醒してから超馬鹿で未熟で横暴になんだよ」
「うん・・・」
「で、俺に処分されるわけ」
「駄目じゃん!格好の餌食じゃん!」
「だからなぁ〜鉄。
暇なんだから、悪い吸血鬼になって、俺に殺させろよ〜〜っ!
再生不可能なまでに粉砕させろや〜」
「お前、バカじゃねぇの!そんな話を聞いて誰が自殺なんかするか!
お前が吸血鬼を狩りたいだけじゃん!!」
「あ、解った!」
「話を聞いてた?」
「俺が鉄を殺しちゃうってどう?」
「殺人だからな!お前、人殺しだかんな!それ!」
「で、覚醒して、また俺がもう一回殺すの。
うわ、それ、超楽しいじゃん!!」
「狂ってんのか!どんだけ吸血鬼を殺したいんだよ!!
絶対お前らにやられないように穏便に、平和に生きるわ!!」
「んだよ・・・。つーかな、結局虔属にはロザリオ渡してあるし、おめぇも居るし、問題なんか起きるわけ無いじゃん。
くそつまんねー・・・」
「月山さん。そんな薄幸の美女みたいな外見なのに、口が半端なく悪すぎるだろ!」
「うっせぇな・・・素人童貞が、ぺっ・・・」
「うわぁ〜、マジ引くわぁ・・・」
学校に来て2週間が過ぎたが、
毎日必ず一回は、こんなやりとりをしているカウンセラー室だった。