鉄観音は、校長と対面していた。
吸血鬼の王である鉄観音と、虔属の3人は一定の範囲内に居ないと、虔属が消滅してしまう。
だいたい、半径三キロ以内だと記憶していた。
定期的なひよりの吸血の為にも、極力一緒に居なければならない。
校長は、魔導師組合と話し、鉄観音は校内カウンセラーとしての仕事をしてもらう事にした。
教師としてでは、流石に専門性が高い特進科の授業は無理である。
しかし鉄観音は吸血鬼の王であり、完全覚醒していないにしても、東洋の妖怪全てを一言で統率出来る王になる存在である。
流石の魔導師組合でも、気をつかわざるおえないのが実際の所だった。
校長と対面し、その旨を聞いた鉄観音は、めんどくさいと言う気持ちを抑え込んで話を受けた。
月山いりえも、鉄観音と同じく校内カウンセラーとして働く。
つまりは、鉄観音に対しての牽制だ。
鉄観音がその気に成りさえすれば、学校中の人間を吸血鬼化させる事が出来る。
そうさせない為の保険だった。
噛み付かれたばかりなら、校長でも人に戻せる術を使えるが、少し時間が経過した場合の人に戻す術は、魔導師組合でも、
月山いりえと達人意外には使えない。
月山いりえは、こと吸血鬼に対しては専門家であり、
海外に派遣され、世界中の吸血鬼を処理する事も多々あった。
二人は同じ部屋で、生徒の悩み相談を受けながら、魔導師と吸血鬼の摩擦を解消するのが仕事だった。
それぞれが様々な想いを持って学園生活が始まる。
さてさて、どうなっていくのやら。