「柊、調子はどう?」
優二君がドラムセットを離れ、あたしの近くに来る。
持ってきたギターに興味津々だ。
だけど、このギターは凄いものではない。
ごめんね、優二君。
「ダメダメだよ」
あたしは首を横に振って優二君の質問に答える。
そして、
「やっぱり俺がいたら駄目なのかも」
こんな弱音を吐いていた。
その瞬間、
「そんなことないって!」
「もとはと言えば、優二が誘ったんだからさぁ!」
慌てる優二君と慎也君。
あたしが下手でもクビにするつもりはないらしい。
この様子を見てホッとしたが……
「そう思うなら練習すればいい」
健吾君はぶっきらぼうにそう言って。
その言葉があたしの胸に突き刺さる。
分かってるよぉ。
あたしだって足引っ張りたくないもん。
健吾君、やっぱりキツいな。
あたし、柊みたいに強くないから、技術で見返すしかないよね。