そして、某貸しスタジオで……





「柊、おはよう」




寝ぼけ眼のあたしを、スッキリ笑顔の優二君が見つめる。




「あぁ……おはよ……」




努めて笑顔を作り、あたしはギターを取り出した。

お父さんが昔使っていた安物だというギターだ。

あの数百万円には二度と触らないんだから!





スタジオには慎也君と健吾君ももういて。

慎也君はそのなよなよした笑顔であたしを見て笑ったが、健吾君は全くの無表情で。

健吾君に認められたかと思って舞い上がっていたが、結局何も変わっていないことに気付く。

そして、この人たちと上手くやってく手段はただ一つだという事実に思い当たる。

あたしがギターを練習して、上手くなることだけだ!