「すきです。」

…え?














今なんて言いました?笑

純白の衣服を身にまとい、

いつもは風になびかせている黒髪を

1つにまとめて白い帽子の中に

閉じ込めている。

普段は目の上で綺麗に揃った前髪も、

今はゆるやかなカーブを描く

少し太めの眉が露わになる。


教室に漂うスパイシーな香り。
私の手には銀のおたま。
目の前には40人分のカレールー。

三週間に一度回ってくる給食当番の真っ最中。
私の隣にいる男子が白いご飯を盛り、私の左手に渡す。
白衣にマスク、白い帽子姿の今の私たちに個性は隠されている。



みんな同じ姿。私にはそう見えていた。



左手にしゃもじを持つ隣の人が次々にお皿に粒を重ねていく。


それを受け取るだけ。


隣の人の右手と私の左手で繰り返されるやりとり。



隣の人を蓮だと意識したことはない。



私の隣でご飯を盛る人。

それは別にその役割を誰がしていようと意識は変わらない。


みんな同じ姿。私にはそう見えていた。









この瞬間までは。




初めての告白はある日突然やってきた。