「告白れば良いじゃないですか。とりあえず2人きりのデートに誘って。」

 川村が言う。デートに誘おうとした事がない訳ではない。だが、何所へ誘えば良いのか考えあぐねた俺が「どこへ行きたい?」と彼女に尋ねたら、多恵はすぐに音響・照明を含む裏方組全員に聞いて回り「みんなで行きたい場所」を調べてくれた。当日、急用で本人が来られないというおまけまでついた。天然なのか確信犯なのか、微妙な状況に悶々としてしまい、すごく疲れた。

「大野さんは天然なだけですよ。ちゃんと告白れれば、多分OKでますよ。」
「うーん、そうかもしれないけど、それで良いのかなぁ。」
「さぁ、それはどうでしょうねぇ。」
「だよなぁ。」

 活動日誌に今日の進捗を記入していると、着替えを終えた多恵が倉庫から出てきた。3人で一緒に帰ろうかとも思ったが、一年の神井が1人で残っているようだったので、2人を先に帰した。