「ごめんなさい。」
 彼女は嗚咽を抑えて答えた。

「大事なことだからもう一度言うぞ。お前は女の子なんだ。俺達は男だ。お父さんでもお兄ちゃんでもない。他人の男だ。分かるか?」
「はい。」

 多恵は泣きながら一生懸命頷いた。だが、、本当に分かっているのだろうか。どうしたら、分かってもらえるのか。彼女にとって、俺って何なんだろう。考えるとへたり込みそうになるのを我慢して、必死で虚勢を張った。

「俺だけじゃないんだょ。。。。」
 無意識に言いながら、俺は父のように兄のように、ひたすら彼女の頭を撫で続けた。